2024.04.02
「運びづらい」貨物には、通常の輸配送に加え、さまざまな課題があります。
本記事では、まず「運びづらい」貨物の輸配送の現状をご紹介します。つぎに、現状をふまえお客様によくお伺いする6つの課題をご紹介します。
運びづらい貨物の輸配送の現状
まず、「運びづらい」貨物の輸配送の現状をご紹介します。
運びづらい貨物はドライバー不足
運びづらい貨物には下記のようなものがあります。
- 建築資材のように形も大きさもバラバラ
- 車のように傷ひとつつけてはいけないような貨物
運びづらい貨物の輸送は、
- 扱いづらいため、経験やスキルが必要
- 重かったり形状が複雑だったりと荷役が大変
- 配送業者が限られるため、輸送が長距離になる
という特徴があります。
いきなり新人の方が入ってきてすぐに対応できる仕事ではありません。そのため、運びづらい貨物においては依然としてドライバー不足という状況が続いています。
コロナ禍における荷量の減少・他業種からの転職等もあり、少しは緩和したドライバー不足ですが、依然として深刻な状況は変わっていません。
輸配送リソース活用にも深刻な課題
輸送能力の6割は未使用、平均2時間近い荷待ちが発生しています。この状態は、運びづらい貨物に限ったものではありませんので、運びづらい貨物はさらに深刻な状態になっています。
原因として、
- 時間指定などの制約が強く効率が悪いこと
- 積み下ろしが大変で時間がかかる
といったことがあげられます。
「運びづらい」貨物の輸配送の改善方法
ドライバー不足や輸配送リソース活用の課題に対して、すでに荷主企業で物流改善に取り組んでいる企業もたくさんあります。
改善方法としては、
- 中継輸送にして積載率アップ、実車率アップを目指す
- パレット輸送にして荷役時間を短縮する
といった取り組みがなされています。
しかし、
- 中継輸送にしても、積み下ろしに時間がかかり、納期に間に合わなくなってしまうので、結局直接遠くまで運んでしまう
- パレット輸送にしようとしても、形も大きさも違う貨物はうまく詰めずに積載率が下がってしまって逆にトラックが増えてしまう
そういったケースも多くお伺いします。「運びづらい」貨物は、施策も実施しづらいという状況にあります。
「運びづらい」貨物の輸配送の6つの課題
ここからは、「運びづらい」貨物の輸配送についてよくお伺いする6つの課題について、事例をまじえてご紹介します。
(1)中継地点間の輸送計画
(2)形状の異なる貨物の積み付け
(3)納期ごとの貨物管理
(4)複数ある出荷場の選択
(5)ドライバーの勤務シフト調整
(6)無傷が求められる貨物の配送
(1)中継地点間の輸送計画
1つ目の課題は、長距離を中継するケースです。
長距離を中継する場合は、中継地で待ってたくさん積みたいという思いと、待ちすぎると納期に間に合わない、何往復もできないという時間の問題のトレードオフがあります。結果的に、結局いつ出発するのが一番いいの?というお悩みをよくお伺いします。
長距離を中継するケースでは、どう待って、溜めて、運ぶべきなのかということも含め、最適な判断が課題になります。
(2)形状の異なる貨物の積み付け
2つ目の課題は、貨物形状がバラバラのケースです。
建築資材などがこれに当たります。建築資材の場合は、配送順だけでなく、形も大きさも違う貨物を全て積み込めるか?降ろす順番も考えて積み込まないと…と多くの不安が生じます。その結果、安全を見込んだ計画を立ててしまい、トラック台数が増えてしまうというお悩みをよくお伺いします。
形状の異なる貨物の積み付けのケースでは、配送計画だけでなく、積み付けも一緒に考えて、不安を取り除くという課題があります。
(3)納期ごとの貨物管理
3つ目の課題は、納期に幅があり、納期ごとに貨物管理が必要なケースです。
一般的な荷物も含めてよくあるケースですが、1日の配送計画だけでなく、ある期間の中で荷量を平準化させることも考えながら、いつ何を運ぶかを考えなければならないという課題があります。
(4)複数ある出荷場の選択
4つ目の課題は、出荷場が複数あるケースです。
LPガスボンベなどがこれに当たります。すべてのお客さまに同じ貨物を届ける場合、どの出荷場で貨物を積んでもよいので、どこで積んでどう運ぶかを考えなければならない、という課題があります。
(5)ドライバーの勤務シフト調整
5つ目の課題は、ドライバーの勤務シフト組みも必要なケースです。
たとえば、自動販売機の補充など、ルートが決まっているルート配送のケースになります。
ルートが決まっている場合、どこからどう運ぶかは決まっていますが、誰が運ぶかを考える必要があります。
さらに、ドライバーの勤務条件や、労働条件、スキルなどを考慮して、勤務シフト計画を立てなければならないという課題があります。
(6)無傷が求められる貨物の配送
6つ目の課題は、貨物に少しの傷も困るというケースです。
たとえば自動車などがこれに当たります。自動車の場合ですと、この車種とこの車種だとうまく詰める、というような組み合わせがあります。ですが、配送計画を立てたとしても、自動車に少しでも傷をつけたら納品ができません。
こういったケースでは、配送計画だけでなく、予定通り運べているか?品質は問題ないか?をリアルタイムに把握する動態管理をしつつ、品質チェック体制と何かあった時にすぐに対応できる仕組みを作っておくことが課題となります。
まとめ
本記事では、「運びづらい」貨物の輸配送の6つの課題として、
(1)中継地点間の輸送計画
(2)形状の異なる貨物の積み付け
(3)納期ごとの貨物管理
(4)複数ある出荷場の選択
(5)ドライバーの勤務シフト調整
(6)無傷が求められる貨物の配送
について事例を踏まえて紹介しました。
トラック台数や走行距離、時間などを最小化し、効率的に行いたい輸配送ですが、輸送効率を上げたいと言っても、課題も解決策も各社さまざまです。
実働率が低いのか、実車率が低いのか、積載率が低いのか、という観点もありますし、例えば積載率が低い場合でも、単純に積み付けソフトで良いのか?ということもあります。
場合によっては、ソフトウェアでは解決できない、現場課題の場合もあります。
費用対効果の高い解決策を決めるためには、データに基づき、また現場ヒアリングも行いながら、まずは課題分析をしっかりと行うことが重要です。
何から手をつけていいかわからない場合には、一緒に課題分析に取り組んでくれる物流とITがわかるコンサルティング会社に相談してみるのも一つの方法です。
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