科学的アプローチで挑む物流課題

科学的アプローチで挑む物流課題

執筆:LOGISTICS TODAY

(本記事は、物流ニュースサイトの 「LOGISTICS TODAY」 に掲載された記事です。)

 荷主が運送会社を選ぶのではなく、運送会社が荷主を選ぶ時代が訪れつつある──。心当たりがあるメーカーや、商社などの物流担当者もいるだろう。確かに「どんな仕事でも、安価に請け負います」とうたう運送会社はある。だが、そういう運送会社に限って事故が多く、文句が多く、そして簡単に仕事を投げ出すことが多いと聞く。

 物流の品質は、商品の価値にも直結する。だから荷主は、信頼のできる運送会社に仕事を任せたいのだが、「運びづらい商品」は運送会社からも敬遠されがちだ。例えば、建築資材や自動車用部材などは、荷姿が悪く積載効率に課題を抱える商品も少なくない。パレタイズが難しい荷姿の商品の場合、どうしても手積み・手降ろしを必要とすることも多いが、これも荷役の手間から、運送会社に敬遠されがちだ。

 「『運びづらい』貨物 ムリなくムダなく運べていますか?」──こんなキャッチコピーを掲げ、物流課題の解決に意欲的に挑んできたのが、AI(人工知能)やデータ解析による科学的アプローチで企業の課題を解決するエンジニアリングコンサルティング企業の、構造計画研究所である。(坂田良平)

建材企業の荷役省力化と、物流コスト17%減を実現

 窓やサッシ部材を製造する大手建材メーカーA社では、荷姿の悪さゆえに発生する非効率な輸送に課題を感じていた。形やサイズがバラバラで、板状のものもあれば6メートルを超える長尺物も混在するA社製品は、トラックにばら積みされていた。

 人が手積みをすれば、確かに隙間を減らし、効率よく運ぶことは可能だ。だがその代償として10トントラックの場合、積み降ろしそれぞれの荷役に、最低3時間かかってしまう。

 A社は、「トラックドライバーの人材不足に悩む運送会社が多い今、このような『わがままな荷主』は、敬遠されかねない」と危機感を感じ、パレット輸送を開始したのだが、今度は物流コストに跳ね返る。積み降ろしにかかる荷役の手間は大幅に改善したが、多種多様な荷姿のA社製品は、パレタイズによって積載可能容積が40%ダウンし、運賃平均単価は14%もアップしてしまったのだ。

 世の中に、積み付け計画システムはいくつも存在する。だがどれも帯に短したすきに長しで、多種多様な荷姿の製品にマッチしたシステムはなかった。そんな中、A社の課題解決に名乗りを上げたのが、構造計画研究所であった。

 構造計画研究所は、同社の積み付け計画システム「PackingSim」(パッキングシム)をベースに、A社の課題解決に最適なカスタマイズを実施した。結果、運賃平均単価はシステム導入後に、17%のダウンを実現したという。

PackingSimによる積付計算のイメージ

探すのは「パッケージでの解決が難しい顧客」

 構造計画研究所では、前述の積み付け計画システム「PackingSim」や、配車計画システムの「ALPS Route」(アルプスルート)、そのほかにも輸配送管理、動態管理、勤務シフト管理などのための、多彩な物流ソリューションを提供している。だが、どれもがカスタマイズを前提としたものであり、パッケージそのままの状態で利用することは、ほとんどない。

 構造計画研究所は、なぜこんな手のかかるソリューション提供を行うのだろうか。同社で物流ソリューションを担当する池水憲治氏は、その理由をこのように語る。

「私どもは医者であって、薬屋ではありません」

 構造計画研究所の目的は、システムを売ることではなく、顧客の課題解決にある。だから、同社の各ソリューションは、コアとなるエンジンのみを実装し、顧客の状況に応じたカスタマイズを施して、初めてソリューションとして完成するのだ。

課題解決にかける思いを語る池水氏

 先の言葉の「薬」はシステムの比喩、「医者」は課題解決の比喩である。だが、こういったビジネス手法は、他のソリューションでは解決できないような、特殊な課題を抱えた企業にしか有効に作用しないはずだ。池水氏は「多くのソリューションベンダーは、『自社パッケージシステムで課題解決が可能な顧客』を探していますが、当社は『どのパッケージシステムでも課題解決が難しい顧客』を探していますから」と答えてくれた。

構造計画研究所がラインナップする、TMSなどのソリューション群

課題解決力を支える「オペレーションズ・リサーチ」

 1956年、構造計画研究所は東京工業大学発のベンチャー企業として産声を上げた。大学で得た研究成果を、社会に還元することであらゆる社会課題の解決に貢献したいと考えた同社は、時代に先んじてコンピューターを導入。建築物における構造設計を手掛けていく。

 現在、同社のビジネステリトリーは、建設・防災から、情報・通信、製造、意思決定・合意形成支援まで、多岐にわたる。同社の幅広い活躍を支えている技術の一つが「オペレーションズ・リサーチ」である。

 オペレーションズ・リサーチとは、統計学などの数学やアルゴリズムを駆使し、企業の課題となる事象に対し、科学的に正しい解決策を導くための「問題解決学」である。同社では、オペレーションズ・リサーチ技術を用いて、顧客の課題解決を支えている。いくつか例を挙げよう。

 一般的には、一つの配送対象商品に対し、積地と配送先は一つずつひもづく。だが、例えばLPガスボンベの配送においては、配送先の時間指定、地理的条件などを考慮し、複数の出荷場所の中から最適な場所を選択し、配送計画を立案する必要がある。一般的な配車計画システムでは難しい、この複雑な制約条件下での計画立案を、同社の配送・配車計画システム「ALPS Route」はオペレーションズ・リサーチを活用して実現した。

 別の事例では、幅のある配送日指定に対する計画立案を実現した。「商品Aは月曜から金曜に配送を行うこと」「商品Bは月曜ないし火曜の午前9時から10時に配送を行うこと」といった条件下では、日々の荷量の平準化を図りつつ、数日先まで複数日の配送計画を立案しなければならない。これも、一般的な配車計画システムでは対応することが難しい。

 このほかにも同社では、複数の制約条件を持つ中継輸送や、ハブ&スポーク物流など、一般的なソリューションでは、シミュレーションや計画立案が難しい事案について、オペレーションズ・リサーチ技術を用いて、課題解決に貢献した実績を持つ。

構造計画研究所による課題解決への主なアプローチ方法

薬屋ではなく「医者」に相談を

 昨今、配車システムを始めとするTMS(Transportation management system=輸配送管理システム)が注目されている。その結果、優れた課題解決能力を持つパッケージ・ソリューションも多数登場している一方で、一般的な配送プロセスには当てはまらない、積載効率の悪い荷姿の商品や、特殊な配送方法を必要とする「運びづらい商品」を製造するメーカーでは、適当なソリューションが見つからず困っていることも多いと聞く。

 本稿の読者に、既成のソリューションでは解決が難しい物流課題を抱えている方がいれば、構造計画研究所に相談してみるといい。「私どもは医者であって、薬屋ではありません」と語る構造計画研究所の課題解決能力は、きっとあなたのような企業が求めてやまないものだからだ。


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