2024.04.02
「荷物の形状がバラバラで、積み付け計画を考えることが大変」
「パレットを導入して積み付けをしているが、すき間が多く、空間が無駄になっている」
このように、荷物の形状がバラバラで、積み付けに苦労している方も多いと思います。
そこで、本記事では、
- なぜ形状が異なる荷物の積み付けは難しいのか
- どうすれば上手な積み付け計画を立てられるか
について解説します。
なぜ形状が異なる荷物の積み付けは難しいのか
ここでは「なぜ形状が異なると積み付けが難しいのか」という点について、実際の積み付けの現状を踏まえて整理したいと思います。
積み付けでは、トラックに直接荷物を積み付ける「バラ積み」と、パレットの上に荷物をまとめてパレット単位で荷物を輸送する「パレット輸送」の方法があります。
パレットへの形状の異なる荷物の積み付け
バラ積みだと荷役に時間がかかることから、パレット輸送の採用が一般的になっています。
荷役時間の短縮に有効なパレット輸送ですが、形状の異なる荷物の積み付けではパレット上の空間に無駄が生じやすくなります。
形状の異なる荷物のパレットへの積み付けは難解なパズルを解くようなもので、経験豊富なベテランが計画を立てないと、パレット上に無駄な空間ができてしまいます。
例えば、建築資材は木材の長さが異なっているなど、長いものから下に敷いていくと上部に隙間ができてしまいます。
時間短縮のためにパレットを使用したとしても、パレット自体への積み付けに時間がかかってしまっては、全体の時間短縮にはつながりません。
パレットのトラックへの積み付けも難しい
無駄なくパレットに荷物を積めたとしても、パレットをトラックに積み付けることがうまくいかない場合があります。
形状が異なる荷物をパレットに積む場合、荷物の高さを調整することが難しくなります。パレットに積んだ荷物の高さが異なれば、トラック内で別のパレットを上に積めなくなることがあり、さらに無駄な隙間が生じてしまいます。
例えば、荷台の高さが2mのトラックであれば、1mの高さのパレットを2つ重ねて積めます。しかし、高さが1.5mと1mのパレットなどは重ねることができず、隙間ができてしまいます。
このように、 パレットを使用して積み付けを行う場合、「荷物のパレットへの積み付け」と「パレットのトラックへの積み付け」を同時に考えなければなりません。
さらに形状が異なる荷物の場合、さらに複雑な条件での積み付けが必要になるため、効率的な積み付け計画を立てることは難しくなってしまいます。
上手な積み付け計画のたて方
荷物の形状がバラバラだと積み付け計画を立てるのはとても難しくなります。
なぜなら、経験の浅い方だと、効率の良い積み付け計画の考え方を身に着けるまでが大変ですし、ベテランの方でも毎回完璧な計画を立てることはできず、計画を考えることにも少なからず時間がかかります。
しかし、積み付けシステムを導入することによって、上手な積み付け計画を立てることができます。
積み付けシステムでは、効率的な積み付け計画を立てるため、様々なアルゴリズムが開発され、日々進化しています。
ここでは、なぜ積み付けシステムが上手に積み付けられるのか、2つのアルゴリズムを例に解説します。
上手な積み付け計画その1:BLD法
1つ目のアルゴリズムはBLD法です。BLD法は、英語表記bottom left depth algorithmの略です。Bottom、Left、Depthの頭文字を取ったものです。
BLD法は、荷物を
・なるべく下(Bottom)
・なるべく左(Left)
・なるべく奥(Depth)
に配置していくことで、効率的な積み付け計画を立てることができます。
BLD法では、形状がバラバラな荷物の積み付けでも、隅から順々に積み付ける計画を機械的に立てられます。ですので、無駄なく荷物を敷き詰めることができ、効率的な積み付け計画を立てられます。
また、汎用的なアルゴリズムでもあるため、配送順や重量の条件など、それぞれの現場で必要な条件に合わせた調整をカスタマイズすることも可能です。
上手な積み付け計画その2:2次元での積み付け
2つ目のアルゴリズムは、2次元で考える方法です。
まずは積み付けをしたい荷物を、荷台の高さを超えないように重ねます。
次に重ねた荷物と荷台を真上から俯瞰する形で、平面的に荷物を荷台へ敷き詰めることで積み付け計画を策定します。
2次元での積み付けでは、2次元で積み付け計画を考えることで、3次元で考えるほど問題が複雑にならず、より良い積み付け計画が立てられます。
このように、なるべく効率的に積み付けられる基本アルゴリズムを元に、実際の積み付け現場にあった条件を組み合わせることで、上手な積み付け計画が立てられます。
人手で積み付け計画を立てる場合には、積み付けをおこなう方の熟練ノウハウが必要になります。一方、積み付けシステムを使った積み付けでは、アルゴリズムを元に膨大な組み合わせの中から、上手な積み付けを条件に合わせて計算することができます。
まとめ
本記事では、形状が異なる荷物の積み付けの難しさと、その解決方法について説明しました。
最新の積み付けシステムを導入することで、経験が浅い方もベテランの方も積み付け計画を考える時間を短縮でき、業務を大幅に効率化できます。
さらに、積み付けの効率化だけでなく、
・積み付け計画が自動化されることにより、ロボットを利用した自動積み付けの可能性が広がる
・欲しい時に欲しいモノがタイミングよく運べる
・現在、検討が進んでいる共同配送を適切に行うことができる
といったことにもつながります。
現在深刻化している、ドライバーの不足や2024年問題にも対応でき、
「モノが運べない」課題を解決し、
ムリ・ムダ・ムラのない物流を実現し、
物流コスト削減や在庫の削減・在庫の適正化にもつながります。
積み付けの効率化から、物流の最適化の第一歩を考えてみるのも一つの方法です。